何年ぶり

 「レコード大賞」なる番組を見た。十代以来かも。明日は「紅白歌合戦」かな。どちらも、あまり想い出は無くて、子どもの頃は、この二つの歌番組で「初めて知った」歌手が多かった。現在もやっぱり同じだ。さらに進化して、出演者全員知らん…ケータイのCMて「浦島太郎」が歌っていた、あれしかわからんの。音階が琉球でしょ。
 私は本当に世間から外れている。妙にオタッキーなのに。

 子どもにつきあってみたアニメと特撮しかわからない。「セーラームーン」「プリキュア」戦隊ヒーロー物と「仮面ライダー」。

 「紅白」の想い出って、嫁ぎ先の大晦日に、金箔入りの日本酒を持って行った。隣のおじさんが年末の挨拶に来て座り込み、家族で年越しに使うはずだった、金箔入りの日本酒を、一人で全部飲んでしまった。

 「紅白」が始まって、ポップスと演歌が入り交じっていて、好きな演歌歌手の時、義父が録音する。一人でしゃべっていたら、みんな急に黙る、なんだろう、と思ったら、ラジカセの録音機能で録音してる。私の声まで録音されてしまった。えええええっ、イマドキ…って驚愕して、、、

 子どもの好きなアイドルが歌い始めると、義父が「けっちなうたがはやってこまる」(妙ちきりんな唄で訳がわからんというような意味合いか)と愚痴り、「子どもが好きだから」と黙らせると、今度は義母が、台所で足音を立てて響く。固い煎餅の固い透明な袋を「バリバリバリ」と破る音が響く。
 音が聞こえないので、子どもがむくれる。子どもに目線で「我慢しなさい」と合図する。義母がお菓子を運んできて勧めてくれる。話し出す。

 子どもの一番好きな歌に限って話が始まり、それが日本人で無いとわかると、むかしからの習慣なのだろう。昔、その国の人たちが日本で商売していた話などして、明らかに差別発言。もうやめてください、「誰もが平等」と躾けられている世代なので、と言いたくなるが、その前に、子どもが泣いて、隙間だらけの冷たい空気をさらに冷たくして障子をつっかえつっかえ開け、部屋から出て行く。追いかけると泣いている。ほどほどに慰めて、テレビの前に戻ると、義父母が「きょとん」として、「孫はどうした?」という。

 いやもう、これしかおもい出せません!

 盆正月に集まってくる親戚対応も大変で、時間がとれるときは精一杯、村へ行っていたのに「毎年来ない/結婚したら来ない」どちらの家へ行っても文句ばかりなので、しまいには、社宅に子どもと二人引きこもり。

 義父が亡くなったときは、自宅で通夜と初七日と四十九日と初盆と一周忌をしたので、気が狂いそうになった。そのなかではっきり覚えているのは、甥や姪たちが、義父の録音のこと、イマドキのことを知らないKYぶりを大笑いしていたことに対する、強い怒り。

 おおみそかはつらい。正月も盆もつらい。