五分五分どころか

 心理学っぽい話にはよくあるのだが、自分が尽くした分だけ相手から思いやりが返ってこないと、人間は失望するという。まあ、そうだな、ふつうだな。とおもう。
 解説本の心理学などを読むと、たいていの人に当てはまるように書いてある。私の場合は、対人関係を前にして、相手に求めることは、「もう、それ以上言うな。わかったから言うな。」この気持ちが、自分が親切に下ことへの「見返り」ならば、私も「あるある」な人だ。

 カウンセラーはなにを思うかわからないが、私は「これでもか、これでもか、これでもか」とばかりに相手にどこまでも合わせてみせる。昔、臨床心理技師に「必要以上に『自分が悪い』と思いすぎ」と言われた。たしかにそうなのだが、前の先生の鑑定で「自己正当化が強い」と診断され、手紙をいただいたので、カンセリングの時はことさら、「こういうことが起きたのは私が悪かったのです」と常に協調していた。「正常」と判断させるために必要だから。

 今考えれば、自己正当化しない人間などいない。相手より自分の気持ちを優先させるのが普通だ。ところが私は、誰に対しても「これでもか」と相手を肯定し自分を否定することで、相対する人すべてに認めてもらおうとしていた。認める、というよれは「黙らせたい」と思っていた。「こんな合わせているのだから、これ以上の文句は言わせない」それが私の対人関係の距離感覚なのだ。

 知人に、なんでも比べたがる性格の人がいた。「私はどうして祐みたいに、人に低姿勢になれないんだろう」と悔しがられたことがある。子どもの時「祐ちゃんは『いいなり』になるから好き、と言われていた。

 あまりに勝とうとするから負けて見せたら、負けてあげた態度に腹を立てる人…

 一所懸命で相手に合わせているのに「理想が高い」と捨てられたり。

 私からすれば、人類皆傲慢。
 しかし、「これ以上文句を言われたくない」という強い意志で、他人が黙るまで親切にして、それでも黙らないと、私も相手を切っている。サイトも変える。
 後味は悪い。