きもちちの変化

 個人的に、制度がおかしい、福祉関係の偉い人は人を見下している、と訴えたところで、制度は変わらない。六年もごねて、やっと悟った。
 先日、初めての福祉制度を使ったヘルパーさんと、昼食を作った。実費の時は、全部任せて指示し、指示し疲れて、食べるときには体力が尽きた。社協の代表のように「お手伝いさんじゃない」とヘルパーさんよりお手伝いさんを格下に持って行くような威張り方はしていないつもりだが、(自分がお手伝いさんだったんだから)…そもそも最初から、私が横に立つだけで、ヘルパーさんの「付き添い」が成立するので、見て説明をするよりも、同じ台所に立ち、負担にならない程度に動いて、ヘルパーさんに仕事を作ってあげる、というか、義母はいつも、私の台所に手を出さないように見せていてさりげなく私の仕事を作ってくれていたので、それを真似してみた。
 野菜を切ってもらう、お肉を焼いてもらう…下ごしらえだけして、「これお願いします」というかんじ。

 実費で全部やってもらうより、大変に楽だった。前回の失敗と、ヘルパーさんの年代を選ぶと雰囲気が良くなった。自分より少し若いくらいの人は、「イマドキ」なので、覚えが良くて、調理道具も使いこなせる。身長も同じくらいなので、台所のたかさも良い。前回の人は、地域的、年代的に、私の台所が「理解できない」様子で焦っていたが、今回は、うまくいったとおもう。
 ひと月に五時間まで、福祉が活用できる。週一で一時間。作って食べて洗うにはぴったりの気がした。なにせ量が少ない。
 週に一度は、薄味で栄養のある料理が食べられる。歯が抜け、欠けて、白内障になり、ますます身体が固くなっている。やたらと「がんばれ」「動け」「歩け」などと言われて、嫌気がさすよりは、自分で、これからやろう、と言う気持ちの時に、付き添ってもらう支援を受ける。

 運転も出来ないのに「運転の付き添い」、寝たきりなのに「散歩の付き添い」だけと言われて腹を立てるよりは建設的だし、きもちも落ち着いた。
 もう少し栄養を取ってから、薬を減らしてもいられるようにする。それから「動き出す」つもりだ。

 どんなに、医師に訴えても、自治体に訴えても、患者数が異様に少ない限り、通じない。カロリーブロックを食べて寝ているよりは、食事して起きていた方が良い。家族に頼れなくて、イライラして薬を飲むより、福祉を利用して、助けてもらう。もともと、それが目的で手帳を出してもらったのだから。運良く、手帳をもらえたのだから。ASが「国の指定する特定疾患」になったことも、ラッキーなのだ。
 なにより、電話で揉めているウチに、自分が成長し、寝たきりにで休んだことで、「ちょっとくらいは動けそう」になった。医師が認めてくれたので、高いクスリを出してもらえた。急には効果が無かったけれど、少しずつ効いたのかも知れない。発病時の苦しい盛りを越えたのだ。

 がんばるなんて、レベルの高いことは、もう少しあとだろう。